戦力外通告、不倫、ギャンブル、借金、
四十男が再起をかけたのは競輪だった——。

戦力外通告を受けた元プロ野球選手。パチンコや酒に溺れ、妻子と離れてゲス不倫——。崖っぷちの主人公が、再起をかけて挑むのは「競輪」! 過去の栄光が通じない世界に飛び込む主人公の前に立ちはだかるのは、過酷なトレーニングと20歳以上も離れた若者たちの冷ややかな視線。そして、自堕落な生活が染み付いてしまった“自分自身”だった。

俳優陣が本物の競輪学校で特訓合宿を行った競輪シーンは、圧倒的なリアリティを生み、人生を背負った男たちがぶつかり合う姿はまさに“ガチ”!
変わりたい。ただ頑張り方が分からない——。根性なしの主人公が不器用にもがく姿に、きっと最後は応援したくなるはずだ。

競輪発祥の地である福岡県の小倉を舞台にした本作のメガホンをとったのは、福岡発ドラマ「めんたいぴりり」の演出力が評価され、東京五輪招致映像のクリエイティブディレクションを務めるなど注目のクリエイター、江口カン。今回が満を持して商業映画デビューとなる。主演は競輪選手を目指したこともある安部賢一。「この役に選ばれなければ俳優を引退する」と背水の陣で主役を勝ち取った。ライバル役には、映画『デメキン』やドラマ「You May Dream」など出演作が相次ぐ福山翔大。そのほか、モロ師岡や博多華丸ら多彩なキャストが脇を固める。

STORY

濱島浩司、39歳。8年前はプロ野球選手として活躍していたが、戦力外通告を受けて以降、生活は荒れる一方。それが原因で妻や息子と離れた濱島は、故郷の北九州で、親友の居酒屋を手伝うことに。相変わらずパチンコや酒に溺れ、挙げ句に親友の妻と浮気するなど自堕落な生活が続く中、濱島はなじみのラーメン屋で、競輪選手になることを勧められる。

「40歳以上でも入学できる」と聞き、競輪学校に入学した濱島を待っていたのは、教官からの猛烈なしごきと、20歳以上も歳の離れた若者たちからのいじめだった。持ち前の負けん気で過酷なトレーニングに何とか食らいつき、いじめにも屈しない濱島。だが一方で自堕落な生活からは抜け出せず、成績は一向に振るわない。崖っぷちな状況をみずから招いていた彼は、ある日同郷の同級生、久松孝明の存在を知る。

他の生徒とは違い、圧倒的な成績を残す彼は、弱った母を施設に預け、帰る場所をなくしてまで競輪にかけていた。「これしかねえっちゃ」。ひとり黙々と自転車を漕ぐ久松の姿に吸い寄せられた濱島は、見失った本当の自分を取り戻すために立ち上がる——。

CAST

安部賢一_濱島浩司役

大分県出身。高校までは野球をやって甲子園を目指す。卒業後は競輪選手の父に憧れ、自分も競輪選手になろうとするが、ケガによるタイムの限界を感じ挫折。その後、役者への道を進むが、オーディション落選の通知ばかりで長い下積み生活が続く。本作の脚本に出会い「濱島を演じるのは俺しかいない。この役が決まらなければ役者をやめる」と背水の陣でオーディションを受け、主演を勝ち取る。まさに濱島を体現するかのような「人生崖っぷち」で濱島を演じている。

福山翔大_久松孝明役

福岡県出身。最近の出演作に、映画『デメキン』(17)『富美子の足』(18)、TV「弱虫ペダル」(17/BSスカパー!)TV「You may dream」(18/NHK福岡)などがある。今回はその涼しげな風貌で、久松孝明という孤高の天才を静かに、激しく演じる。江口カン監督ドラマ「龍が如く 魂の詩」にも出演。

モロ師岡_校長役

千葉県出身。俳優であり、コメディアン。1996年、『キッズ・リターン』で東京スポーツ映画大賞助演男優賞を受賞。以降、TVや映画などで名バイプレイヤーとして活躍。今回、競輪学校校長という濱島の人生を決める立場を、さりげなくも存在感のある演技で表現している。

博多華丸_ラーメン店店長役

福岡県出身。1990年、漫才コンビ「博多華丸・大吉」を結成。福岡で活動したのち、東京に進出し、独特の博多弁漫才で大ブレイク。また、江口カン監督のTVドラマ「めんたいぴりり」で主演を務め、2019年公開予定の映画版にも続投するなど、役者としても活躍。江口作品には欠かせない一人。

DIRECTOR

監督_江口カン

福岡生まれ。九州芸術工科大学 画像設計学科卒業。‘97年 KOO-KI 共同設立。
ドラマやCM、短編映画などエンターテインメント性の高い作品の演出を数多く手がける。’07~‘09年 世界で最も重要な広告賞として知られるカンヌ国際広告祭で三年連続受賞(Bronze/Bronze/Gold)。Boards Magazine(カナダ)主催「Directors to Watch 2009」14人のうち1人に選出。’10年より3年連続でクリオ賞(アメリカ)審査員。‘13年 東京五輪招致PR映像「Tomorrow begins」のクリエイティブディレクションを務める。
同年、ドラマ「めんたいぴりり」の監督を務め、日本民間放送連盟賞優秀賞、ATP賞ドラマ部門奨励賞、ギャラクシー賞奨励賞受賞。’15年 続編「めんたいぴりり2」が放送。前作に続き2年連続で日本民間放送連盟賞 優秀賞を受賞。同年、Webムービー「TOYOTA G’s『Baseball Party』」の企画・監督を務め、Youtubeで860万ビューを超える盛り上がりを見せ、MLB公式サイト、TV局CBSスポーツ電子版ADWEEK(アメリカ)のサイトに取り上げられるなど話題を呼ぶ。
‘16年4月 競輪発祥の地・小倉を舞台に、夢と人生にもがく、崖っぷちの男たちのドラマ「ガチ★星」(テレビ西日本で2016年4月放送)の企画・監督を務める。
同年11月、ゲーム「龍が如く」の完全オリジナルストーリードラマ「龍が如く 魂の詩。」の監督を務める。本作は、ゲオチャンネルにて配信。2017年1月レンタル開始。12日間でレンタル回数10万回を突破した。映画『めんたいぴりり』が2019年1月公開予定。

INTERVIEW

2016年にテレビ放送したドラマ「ガチ★星」(全4話)を劇場初監督作品として映画化した理由をお聞かせ下さい。

そもそもこの『ガチ星』はドラマのためではなくて、純粋に映画として作りたいと思って生まれた企画でした。テレビ局の企画会議とかではなくて、自分自身のパーソナリティに紐づいた特別な作品なんです。もともとは自転車が好きで、自転車が出て来る映画をいつか撮りたいと思っていました。そんな時に、テレビで競輪学校のドキュメンタリー番組を見ていたら、地元の球団を戦力外になった野球選手が競輪で一から再起を果たそうとしていて。彼は20代後半で、周りは若い子たちばかり。その画が単純に面白いと思ったし、競輪はアスリートにとって再起の場所の一つなんだと興味を持ったんです。また、競輪は地元福岡が発祥の地だと知っていたので、地元の映画を撮ることができる。

そんなところから企画が生まれたのですが、なかなかクリアできない問題が続いて。諦めかけていた時にJKAの方が「せっかくだからドラマでやりませんか?」と仰ってくださったんです。オンエアは福岡だけでしたが、映画関係者を含めたくさんの人たちから反響をいただき、純粋に作品への思い入れが強くなり。企画を考えてから7 年。やっぱり映画として本作を世に出したいと思い、今回新たなシーンの追加や音も劇場用に入れ直して再編集しました。

主人公・濱島の年齢は、なぜ中年に設定したんですか?

一番中心にあるテーマは、“年齢を重ねてからの再チャレンジ”。その葛藤なりもがきの部分を描きたいと思ったんです。若い時のチャレンジは、それこそ失敗覚悟でぶつかっていける。ただ年齢がいってから崖っぷちに追い込まれると、今度失敗したら次はないという恐怖心に縛られる分、よりノイズが大きくなる。そこの難しさを描きたいなと。あとは、僕と脚本の金沢(知樹)君が当時40歳過ぎと45歳だったので、濱島のストーリーが自分の人生と重なる部分も多くて。映画は、僕にとっても歳を重ねてからの挑戦。結局は自分を投影しないと、迫力は出ないと感じました。

濱島役が安部賢一さんに決まるまでに時間がかかったと聞きました。

金沢君が、俳優自身も崖っぷちな人がいいということで「40代で鳴かず飛ばずの役者」を集めるオーディションをしました。そこに安部ちゃんが来たんです。彼には昔、野球選手を目指していたけど肩を壊して諦めた過去がありました。その後、大分の競輪選手会長だったお父様の影響から、競輪選手を目指すも競輪学校に合格できなくて。それで上京して役者をやるものの鳴かず飛ばず。主人公の濱島にとても近い人なんですよね。僕もできるだけ彼に決めたいという気持ちで面接しましたが、こちらの求める演技ができず、落としたんですよ。それでも本人は諦めきれないと言ってくるので、競輪学校のロケハンで写真の被写体として走ってもらいながら、合間で芝居の特訓をしました。

そうして迎えた最終面接でもやっぱりダメで。「安部ちゃん、もう次はないよ」と言ったら、泣き出しちゃったんですよ。その時点で濱島役はまだ決まっていなかったので、安部ちゃんを東京のオーディションに呼びました。そしたら、前回の面接から1週間しか経っていなかったのに、とても良くなっていて。本当に崖っぷちだったんでしょうね。彼はここまで変わったんだから、この先も変われるかもしれない。「安部ちゃんとなら心中してもいい」という覚悟で抜擢しました。

俳優達が現役の競輪選手達と競りながらレースを走るシーンは鬼気迫るものがありました。

俳優たちには、一ヶ月くらい競輪学校で合宿をしてもらいました。久松役の福山(翔大)君は、先生から「役者がダメになったらプロになればいい」と言われるほど身体能力が高かった。彼もオーディションだったんですけど、顔立ちが端正で、切れ味があり、最初から光るものがありました。一方の安部ちゃんは中年のだらしなさを出すために10キロ太ってもらいましたね。ただ彼はトレーニングするとすぐに痩せてしまうので、RIZAPの方に太る食事メニューを考えてもらって。「痩せさせる」ではなく「太らせる」のは、RIZAP史上初めてだったんじゃないかな(笑)。

クレジットにあるJKA、日本競輪選手会福岡支部の協力も大きかったかと思います。

ロケ地となるレース会場や競輪学校、自転車などの全面的な貸出のほか、競輪学校の生徒や選手の人たちからたくさんの協力をいただきました。レースシーンの撮影も、特に安全装置のようなものはないわけですから、危険といえば危険。そんな中、事故なく撮影ができたのは、周りの選手たちの気遣いがあったからこそ。競輪独特の試合運びは僕たちも調べた上で撮影を組み立てていきましたが、現場の選手たちがホワイトボードを使いながら「ここはこうしたほうが試合運びとしては面白い」とみずから解説してくれて。その結果、リアルな試合シーンが生まれたと感じています。

安部さんのキャラクターを踏まえた上で脚本に加えたこと、演出したことはありましたか?

安部ちゃんは、撮影の準備中にスタッフとおしゃべりするような陽気な人。だから休み時間に笑うことも禁止して、「心の中でずっとイライラしていて欲しい」と指示しました。クラインクイン前まではイライラしている顔つきの練習をLINE でやり取りしていましたね。そうしていくうちに、だんだんとあの濱島の顔になっていくんです。主人公なのにとにかく人をムカつかせる。でもどこか憎めないし、最後には愛されてしまう……。そんな主人公像を中年で表現できたのが良かったと思いますね。「こんな濱島の人生ですら捨てたもんじゃないよ」と言えるかどうか。それが『ガチ星』を通して伝えたかったことでした。

取材・文:大久保渉

NEWS

04.06
2018

映画『ガチ星』 全国共通前売り券発売中!

Lコード:91424
発売日:4/7 10:00〜

販売方法

  • 全国のローソン/ミニストップ店頭に設置の「Loppi」端末から直接購入(24時間受付)
  • WEBサイト「ローチケ.com (http://l-tike.com) 」(PC/モバイル共通)

03.13
2018

4/7(土)より、ロケ地である地元、福岡中洲大洋 (web site) にて先行上映!

公開初日、江口カン監督、安部賢一さん、福山翔大さん、林田麻里さんによる舞台挨拶を初回13:30の回上映後に実施いたします。
舞台挨拶は、約20分程度を予定しております。

09.17
2017

ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2017in福岡

17日福岡会場にて「ガチ★星」スタッフによるトークショーが行われます。

08.25
2017

第42回 湯布院映画祭特別試写招待